サーカスを一度見てみたい。
今までなんとなくそう思いながら、機会もあるようなないような感じでスルーしてきてました。 そんなわけで56歳になるまでサーカスを見たことなかったのです。
ところが今年の3月に鹿児島に行った際に、桜島行のフェリー乗り場の近くでサーカスのテントを見つけました。 その時は旅程に余裕がなかったので見送ったのですが、それが「木下サーカス」のテントでした。
その「木下サーカス」が名古屋で公演をするという情報を見て、なんとなく御縁を感じたのでぜひ見に行きたいと思っていました。 名古屋での公演は10/27までなので、遅ればせながら見に行ってきたという次第です。 当日は3ヶ月ごとのがんの定期検診で、腫瘍マーカーも胸部X線も問題なかったので足取りも軽やかに白川公園に向かいました。
そんなわけで公演の感想、チケットの購入などをまとめてみました。 木下サーカスの公演は名古屋の後、立川、磐田と続きますが、その観戦の役に経てば幸いです。

公演の内容と感想
私が観覧した公演は、15:50~18:00の回。 途中で20分の休憩を挟みました。 私が座った席はリングサイドB席、ステージを正面に見て左側の前から3列目。 ステージの様子がよくわかる近い場所でした。 さっそく公演の内容と感想です。
前半の内容ピックアップ
はじめての観戦でドキドキしながらスタートを待ちます。 照明を落とした中、スタッフがテキパキと準備をしています。 それをカバーするようにお客さんの視線を集めるピエロがおもしろくパフォーマンスをしています。
そしてスタート、オープニングは「つりロープショー」でした。 パフォーマーの方のきれいな姿勢と素晴らしい身体能力、幻想的な幕開けでした。
前半で印象に残ったのは次のプログラムです。
- イスを積み重ねていくパフォーマンス … 結構イスがグラグラしているのですが、ひょいひょいと登ったり降りたりしてハラハラしました。
- ポニーの芸 … 6頭(7頭かな?)のポニーがステージ内をくるくる回りながら、ハンドラーさんの合図でいろんな芸をします。 いちばん小さい子がちょこちょこ動いたり、ジャンプの芸ではサボっている子がいたり、ユーモラスな演出が楽しかったです。
- イリュージョン … マジックの定番ともいえる脱出芸や串刺しなどのイリュージョンが楽しめました。 テレビで見ていると「実際に見るとわかるんちゃうか」と思ってましたが、全然わかりません。 「鮮やか!」の一言です。
- ウィール・オブ・デス … 前半最後のプログラム。 2つのウィール(輪)が連結されたバトン上の大きな装置がステージいっぱいに大きく回転、その両端のウィールの中で外でパフォーマーが決死の芸を行います。 これは圧巻! 途中、パフォーマーさんが姿勢を崩したり(これもパフォーマンスですよね)、見ていてハラハラしました。 観客席からも「うぁー」「いやー」などの声が上がっていました。
笑ったりドキドキハラハラのスリルがあったりしながらのあっという間に前半終了。 最上級の映画を見ているときのように時間の進みが早く感じました。 パフォーマーさんたちの素晴らしい芸に感心しかありません。 文字通り「口がポカンと開いて見ている」という状態だったと思います。
休憩中
休憩は20分ほどと長めに取られています。 この間にトイレにいったりスナックを買ったり、ゆっくりできると思いました。 子供のお客さんが多いので、前半・後半の時間と休憩の時間の割合が絶妙かなと思いました。
休憩中にはお客さんの席を回る「売り子さん」がいました。 私が見た限りでは、
- 公式パンフレット
- チョコモナカジャンボ
- 光るうちわ
- ポップコーン
を販売していたようです。 光るうちわは子どもたちがパフォーマンス中に喜んで振っていました。 公演中は照明が暗いので一緒に参加している気分になってとても良いですね。
ところでこの休憩中の売り子さん、私は幼少の頃の映画館を思い出しました。 同時上映で2,3本映画を見るのが普通だった時代(イスがボロくておしりが痛かったですが)、休憩中にアイスを買ってもらうのが楽しみで楽しみで。 同年代の方は共感いただけると思います。
後半の内容ピックアップ
後半が始まりました。 後半もピエロがうまく導入をしながらスタートです。 後半はジャグリングからスタートしました。
後半で印象に残ったプログラムは次の通り。
- ジャグリング … ジャグラーが会場をあおって盛り上げ方が素晴らしい。 もちろんパフォーマンスもすばらしい。 ジャグリングといえば扱う道具の数だけ増えていくものと私は思っていたのですが、低い高さで高速に回転させる魅せ方もあるのですね。 ボーリングのピンのようなクラブ(正式名称、今調べました!)が光りながら高速で回転しながらハンドルするパフォーマンス、素晴らしかったです。 リングをたくさん扱うキャッチも成功して、観客大喜びでした。
- ハイスピード・ローラースケーティング … 円形のステージの上で行われるローラースケートのパフォーマンス。 二人組できれいなスピンのなかで行われる体術の数々です。 首だけで支えるジャイアント・スイングのようなパフォーマンス、首が締まりそうでハラハラです。 お客さんもぐるぐるまわされていました。
- ゾウさんのショー … 大きなゾウがステージの中を歩く様子に圧巻。 (ゾウにとっては)小さなイスに立ったり座ったり。 ゾウってこんなことできるんや…と感心するしかない。 このイス、撤収時にスタッフの方が転がす様子からやっぱゾウの体重に耐えるだけ重いんだなぁと思いました。
- ダブル空中ブランコショー … サーカスといったらコレな空中ブランコ。 これがプログラムのオーラスです。 はじめて生でみましたがやっぱりすごいですね。 目隠しで飛ぶのがすごかったなぁ。
前半と同じく本当にあっという間に全てのパフォーマンスが終了しました。 空中ブランコのパフォーマーが紹介されながらネットに落下して退場します。 このネットから降りるときもカッコ良!
グランドフィナーレ
空中ブランコの後、パフォーマー全員がそろってのグランドフィナーレがありました。

実はこの時間だけが撮影が可能な時間。 結構あっという間に終わってしまうので、撮影タイミングを逃さないでください。 自分も「撮って良いの?」と思いながら周りの様子をうかがいながら撮りました。
この後照明がつき、退場となりました。 退場もスムーズ、テントを出るとゾウと写真撮影ができるコーナーにはさっそく子どもたちの長い列ができていました。
公演全体の感想
その他、公演全体について思ったことです。 まずは良かった点。
- パフォーマンスの合間合間のステージ転換など、スタッフがきびきび行動していてかつムダがない。 素晴らしく効率的に働いていらっしゃいました。 演者さん以外のスタッフさん全体が素晴らしく手際が良い印象です。
- 場面転換が早く、ほぼノンストップで演目が代わっていきます。 飽きさせない、しらけさせない配慮がされてプログラムが構成されています。
- 時間がかかりそうなときはピエロがパフォーマンスを行うなど、「視線をそらす」「気分転換する」という工夫がこらされていて感心しかなかったです。
- 照明ワークがこれまた素晴らしい。 計算し尽くされた照明でスピード感と幻想感を演出していました。
- 柱がなるべく視線のじゃまにならないように配置されていました。 会場内は本当にテントの中なのかと思えるほど快適でした。
- ピエロのパフォーマンスでお客様参加型の場面がありとても楽しかったです。 ステージ上にあげられたお客様もノリが良くてGoodでした。
ほんのちょっとだけ気になる点は以下のこと。
- 拍手のタイミングが難しいです。 パフォーマンスが次から次へと進んでいくので「ここが決め所!」というところがわかりにくいものがありました。 というかずっと拍手していたいぐらい(これはマイナス点なのか?)。
- たくさん演目があるのだけど、「え。これだけ?」という気持ちになるものがありました。 あっさり始まってあっさり終わる感じがして、ちょっともったいないかも。 贅沢な意見ではありますが。
- 空中ブランコは前の方の席ほど見上げる形になるのとネット越しになるので見にくい感じがしました。
全体としてはもちろん満足度120%でした。 夢のような2時間といって過言ではないです。
チケットの購入について
公式サイトのでスケジュールとチケット料金について確認できます。 ちょっとわかりにくいのは指定席で座るパターンでしょうか。
指定席に座るには、「自由席券」+「指定席料金」が必要です。 これはJRや新幹線と同じ考え方ととらえればわかりやすいかも。
指定席には6種類ありますが、そのシートアレンジは以下の通り。

私が座ったのは図の矢印の位置。 シート番号は136番でした。
シートからの見た目ですが、前から3列目ということもありとても良く見えました。 パフォーマンスが近く迫力もありました。 やっぱり最前列ブロックのA~Cは見えやすいと思います。
しかしながらパフォーマンスの演出上、この方向からは演者の背中側になり見えにくいシーンがほんの少しですがありました。 でもほとんど気にならないほどです。
そして最前列のブロックのリングA~C、特に前の方の席の弱点は空中ブランコかなと思いました。 見上げる形になり首が痛い(笑 パフォーマンスはネット越しに見ることになります。
イスはフレーム金属で座面プラスティックの簡素なもの。 クッションはありますがぺらっぺらなので、おしりイタイイタイの人はクッションを持参するのが良いかも。 あと多分冬は寒そうです。 子供さん用に厚めのシートを貸し出しているのは良いなと思いました。
休憩中などに後ろや周りの席を眺めてみての私の感想です。 もし次に行くことがあれば…の想定です。
- 指定席の購入は観たい公演日の4日前で〆切りになります。 なるべく早めに購入しましょう。
- 指定席の購入時、シートを選べるチケットサイトと選べないサイトがあります。
- 一番高い「リングA」がやっぱりオススメです。 売り切れるのが早いです。
- 「リングB」はその次の選択、ほんの少しですが見えにくいシーンがあります。
- 「リングC」よりは「ロイヤルブルー」の方が正面で見やすいかも。 ただ後ろの方の席になるとステージが遠く感じると思います。
- 通路側の席はピエロに捕まる(?)ことがあるかもです。
さらにさらに。 もし次の機会があるとするならば、私ならこうしたいです。
- 1回目は「リングA」「リングB」で観る
- 2回目は「自由席」または「ロイヤルブルー」で観る
というように2回観に行くことにしたいです。 実際「もっと早くに行っておけばなぁ」と思っています。 もう一回全体が見渡せる遠くの席で観たいなー。
さいごに
56歳にして初のサーカス観戦、大満足の思い出になりました。 木下サーカスは日本のサーカスを牽引する王道的総合サーカスという認識だったのですが、そのとおりのバリエーションに富んだ演目をふんだんに魅せてくれるプログラム構成と運営だったと再確認できました。
一方、「サーカスってこんなのだろう」という想像がアップデートされたこともありました。 私のイメージとしては、トラやクマなどの猛獣の芸がもっとあるのかなと思っていました。 しかしながらこれは動物愛護やワシントン条約の関係もあることだし、現在ではしょうがないことでもあります。 今年の3月まではホワイトライオンのショーもあったとのことなので、鹿児島で見れていられればという思いもします。 ゾウのパフォーマンスはできるかぎり続けてほしいところです。
代わりにですが「人間ってすごい、こんなコトできるんだ」と思いました。 鍛えられた人間の動きとバランスがミックスした数々の素晴らしいパフォーマンス。 眼の前で観ることのできるナマの身体能力のすごさには、ただただ見とれるばかりでした。 サーカスは「こういうことができるとスゴイと思ってもらえるだろう」という想像力を、日々の研鑽によって現実に結実させた世界だなと思いました。
また機会があれば木下サーカスだけでなく、他のサーカスも観てみたいと思います。
最後の最後にひとつだけ。 おじさん1人でサーカス行くのはちょっとだけハードルがキツイです。 「1人なんとか」チャレンジの中では難度はなかなか高いほうかと。 まわりはカップルと家族連れだけですからね。 とはいえ、始まってしまえば前しか観なくなるので気にしなくて大丈夫! 想像ですが平日の早い時間に行くと少し気楽かも、ですよ。 週末休みの人は有給とってでも行きましょう!


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